66個の金魚の水槽

好きな音楽と映画と場所のことをダラっと書いています。

BIGMAMA IN BUDOKAN

押入れの、椅子に立って背伸びをしないと取れないような上の段に、使い古したバンドTシャツが眠っている。化石のように押し込まれていたTシャツの背面にはツアー日程が記されていて、私がまだ10代だった頃のものだ。

 

BIGMAMA、万を持して武道館。

そう知ったのは確かtwitterだったと思う。

「まぁ、そろそろだよね。」

そのくらいの温度で、多分おそらく、誰かにとってはとっておきだった情報をあっけなく下から上にスクロールした。

 

今じゃたまにフェスでちらっと見る程度になっていたバンドの、今のメンバーでのアニバーサリー、記念すべき武道館。わざわざお邪魔するつもりは毛頭なかったのだけど、直前になると、不要な使命感に駆られてしまうのはいつものこと。結局当日、予定を無理やりやり繰りして、九段下へ向かった。

 

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会場に入るときに一封の手紙を手渡された。内容はBIGMAMAスタッフからのもので、「武道館一面のタオルを掲げてメンバーを迎い入れませんか」というものだった。あぁ、そうだそうだ、こんな感じ。BIGMAMAとそれを取り巻く世界。 

作りもののようで、嘘っぱちのようで、でも誰もが一度は夢見たおとぎ話。サンタクロースが両親だなんてとっくに知っているけど、寝ている振りをする。ガラスの靴は踵を潰して無理やり履いてみせる。

張りぼてだろうが無理やり夢を見て、目を瞑って恋をして、いつのまにか手に取れるくらいリアルになっている。彼らの音楽ってそんな感じだったなと、思い返していた。

 

ステージには美女と野獣のダンスシーンすら思い出させるステンドグラスモチーフのような装飾に、スタンド席まで迫る小道、そして8人編成のストリングスピット。

私が今まで武道館で見たアーティストといえば、the pillowsBUMP OF CHICKENUNISON SQUARE GARDEN、その他海外アーティスト。比べてみると、BIGMAMAのそれは格段に艶やかで、まさに舞台装置という感じだった。

 「似合ってるかな」

武道館に立った金井さんの、ほとんど最初の一言がこれだったと思う。

 

初っ端のNo.9含め、結局曲目の半分も知らない曲だった。そのどれもが、随分遠くまで響くような力強くスケールの大きい曲だった。「一点の曇りなし」という会場の声も、私の頭上を飛びこえて随分高くへ放たれていった。

 

本編では殆どMCがなし、立て続けに曲を披露した一方で、アンコールでは金井さんの20分に渡る独白があった。メンバー一人一人へのメッセージと、BIGMAMAの音楽を続ける上で支えになっている「巻き込んだ人たちを不幸にしない」という信念について。

 

「そんなに憧れるロックヒーローもいないんだけど、でもミスチルの桜井さんとか、細美さんとか、川上さんちのようぺいんとか、斎藤さんちのこうちゃんとか、少し下の世代だけどGENくんとか、ヤマタクとか。彼らが持っているものを、僕は持っていませんでした。」

 

それでも関わった人たちを不幸にしないため、何ができるか考えて2つの答えが出た。

一つは、5人で信じた音楽を鳴らし続けること。

もう一つは、欠陥だらけだった自身の人生の失敗や後悔を歌に散りばめること。

小さな見栄や嘘で、大切な人に信じてもらえなかった。今でもそれを後悔している。皆はそんな風にならずに誠実に生きてねと。

 

そう伝えて、We have no doubtから演奏が再開し、最後はダブルアンコールのI don't need a time machine。1番のサビ前まで、金井さんがマイクをとらずに客席に向けていた。歌えるんだよな、たぶん、耳を塞いでも。

 

BIGMAMAが大好きだった。のは少し、いや結構前の話。

だけど、魔法は解けて仕事でヘトヘトになっても、幸い不幸にはならなかった。いまだに夢見がちで、スーパーポジティブに世界を解釈し直してしまう癖は、BIGMAMAの影響が3mmくらい残っている気がする。それを確かめられたので、やっぱりちゃんと見届けられてよかった。

 

最後に、ひとつ。新曲の前奏とともに金井さんから"ささやかなお知らせがあります"との言葉があった。ユニバーサルミュージックへの引っ越し、つまりメジャーデビューの報告だった。

「また『ささやか』とか言っちゃって…」

と、思わず微笑んでしまったのは私だけではないんだうな。

 

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あ、BIGMAMAのおかげで好きになれた大好きなバンドからもお花が届いていました。へへへ。

 

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セットリスト

01. No.9
02. the cookie crumbles
03. #DIV/0!
04. Paper-craft
05. Make Up Your Mind
06. Swan Song
07. 最後の一口
08. ダイヤモンドリング
09. alongside
10. Neverland
11. (50) days of flower
12. 春は風のように
13. awasekagami
14. 君想う、故に我在り
15. かくれんぼ
16. SPECIALS
17. CRYSTAL CLEAR
18. 荒狂曲"シンセカイ"
19. BLINKSTONEの真実を
20. 秘密
21. CPX
22. ファビュラ・フィビュラ
23. Sweet Dreams
24. MUTOPIA
25. 愛はハリネズミのように

en1. We have no doubt
en2. HAPPY SUNDAY
en3. 神様も言う通りに
en4. until the blouse is buttoned up

en2-1. 新曲
en2-2. I Don't Need a Time Machine