66個の金魚の水槽

好きな音楽と映画と場所のことをダラっと書いています。

映画『Life』を観てティースプーン1杯程度の優しさを取り戻す。

トールサイズのアイスカフェラテ一つ。」

 

カウンターごしの店員さんが聞く。
「アイスとホットどちらにいたしますか?」

 

「(ん...?)アイスでお願いします。」

続けて店員さんが聞く。
「サイズはどちらにされますか?」


(えええええ!!うそーーん!!)

 

 

 

そんなとき、ニコッと笑い「トールサイズでお願いします。」と、1ミリだって眉をひそめたりせず答えたい。

自分がガタガタのとき、こんなことですらわざわざ「え?言ったじゃん。」という顔を作ってしまうことがある。

 

ティースプーン1杯程度、たったその程度の優しさを無くしてしまう。その度自己嫌悪に片足突っ込んで、心を充電させるためにこの映画を見る。

 

 

大好きな映画です。

綾野剛主演、『life』。

 

あらすじ

地方でキャンドル・アーティストの道を歩む勇(綾野剛)は、ある晩、見知らぬ女性からの留守番電話の伝言を聞く。彼女が指定した日に高校の同窓会で上京する予定だった彼は、約束の場所に行き、茜(岡本奈月)という少女と出会う。親友(忍成修吾)が幹事を務める同窓会のことも気がかりだったが、勇は少しだけ茜に付き合うことにする。

 

 

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穏やかで優しい3日間。

 

長髪時代の綾野剛が、今よりもワントーン高い声で、儚い穏やかな青年を演じています。なんだか最近の綾野剛はガタイいいし、むさっ苦しい(好きです)ので、少し新鮮かもしれない。



何故か中国語ぺらぺらの主人公。
何故か兄は日本語、妹は中国語を喋る兄妹。
何故かその家のプレハブのようなところで暮らす生活。

 

突然切り取られた田北勇の3日間は断片的なもので、私たちには彼らの人となりも過去も分からない。

事件現場に立ち会ってしまったり、見知らぬ少女とデートをしたり、元恋人から結婚すると聞かされたり、日常と呼ぶには賑やか過ぎる。

 

それでもこの3日間の時間が穏やかに流れているように感じるのは、どこか浮世離れした主人公の出で立ちのためだ。なんとなく日常と非日常の区別がつきづらい。

 

 

唯一確かなのは、おそらく隣人は誰もが痛みを抱えている。

恋人を亡くした女の子、病気と戦う親友、毎日住民を見送り迎える駅員。

皆笑っているけれど、何かに疲れていて、どこかで悲鳴をあげている。

 

 

田北勇は、彼らに寄り添いそっと灯りを点す。その度キャンドルが蝋を溶かすように、彼もまた積もり積もった誰かの痛みで、いつしか磨り減っている。

 

それでも、描かれた田北勇の3日間は途方もなく優しい。

鳴り止まない誰かの痛みと、淡々と灯し続ける勇の優しさ。それらと反響し合うように、ポツリポツリと劇中も音楽が鳴り続ける。

 

 

彼のように、穏やかにいられるだろうか。

自分がしんどいとき、気を抜けば、わざとらしくため息をついてしまう。ときに声を荒げてしまう。そんなことがある。
怒ってるわけじゃない。

ただ「自分は苦しい」と、気づいてほしいだけだ。
そんな自分が嫌で、田北勇のように、優しさが途切れなく鳴り続けるような人になりたいと思う。

 

 

 

 

しんどかった1日の最後に、カフェに入る。

意識して少し口角を上げ、意識していつもより少しハキハキと、そうやって、こぼれ落ちていくほんの少しの優しさを取り戻す。

 

それでもダメならこの映画を、BGMのようにみる。

少し異国のような雰囲気漂う中、田北勇くんの穏やかな声と音楽と優しさに癒されます。

 

 

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