66個の金魚の水槽

好きな音楽と映画と場所のことをダラっと書いています。

『リリーのすべて』壊れても愛の物語。

映画備忘録!!

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あらすじ

1930年代に世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人、リリー・エルベの実話を描く人間ドラマ。自分の内側に潜んでいた女性の存在に気付き苦悩する主人公と、変わっていく夫に困惑する妻の姿が描かれる。『博士と彼女のセオリー』で第87回アカデミー賞主演男優賞に輝いたエディ・レッドメインが主人公のアイナーを演じる。

 


映画『リリーのすべて』予告編

 

BUMP OF CHICKEN「流星群」を聴きながらお届けしております(ぇ

出さなくたって大きな声 そこからここに響くよ
これほどに愛しい声を 醜いだなんて
あの雲の向こう側の全部が 君の中にあるんだよ
たとえ誰を傷付けても 君は君を守ってほしい

 

感想

※わりとネタバレ

 

究極的に言えば、自分のことを一番守ってあげられるのは自分であって、他人ではない。誰だって利己的だしそれが正しい姿。愛の物語、ラブストーリーだと出演者達のインタビューでみたけれども、余りにも一方通行の愛の物語でした。愛が崩れるのもまたラブストーリーですね。

 

100年近く前、歴史上初めて性転換手術を受けたリリー・エルベ。かわいい奥様ゲルダと何の変哲もない家庭を築き、子供は授かってはいないものの、幸せに暮らしていた。

 

自身の中の女性としての人格に目覚めた後の、主人公の本能の赴くままの言動に少し驚いた。史上初の手術の危険性も厭わずに承諾、愛していたはずのゲルダとの離婚、周囲に奇異の目で見られることへの恐れもあまり感じなかった。それよりも、やっと女性に戻れる喜び、やっと自分の異常性が、異常でも精神病でもなく、そういう障害なのだと、答えが見つかったことへの喜び。それが全面に現れていた。

 

勿論苦悩はあるけれども、自身のトランスジェンダーとどう向き合ってどう解決すればいいのかに終始焦点がいっているようで、ゲルダのことは愛してるとは言ってみるものの、ほぼもう眼中になかったように見えた。これだけ献身的で無償の愛をくれるゲルダへの葛藤がまるで感じられなかったけどこんなモンなんでしょうか。

 

だから苦悩、戸惑い、というところで言えば奥様のゲルダの方が印象的。愛する夫が変わっていく哀しみ、嫌悪感、怒り。愛。

家に帰ったら深刻な顔して女装した旦那がいるって、控えめに言っても泣くでしょ。どうしたらいいのかって嘆く旦那の手を握ってあげるって。マザーテレサか。

リリーは答えが見つかったけれども、彼女には答えなんて誰も与えてくれないんですよね。その点、何か完璧な答えへ導いてくれそうなプーチンもといハンスがべらぼうに格好よく映るのだけど。すげえプーチンもだいぶ聖人君子のような出来たお方だったな。

 

だって、愛した人がいなくなってしまうんですよ!性転換手術を受けにいく夫を見送る汽車のシーン。アイナーとの最後の別れですよ。涙が頬を伝うわ。これはきっと花粉のせいなんかじゃない。

当の本人はウッキウキだし。木綿のハンカチーフとか歌いだしそうなウキウキ感でした。葛藤という名の下に歌いだしそうでしたよ。こっいびとよー♪ぼくはたびだつぅー♪ってやかましいわ。

 

ディスってません。ディスってないよ、むしろすごくいい作品だと思います。だけどあまりに「これは愛の作品だ」みたいなことを前情報で入れてしまっていたので、愛に溢れてるのはゲルダだけじゃんて。

だからまぁ一方通行ラブストーリーだけど、その歪さにドラマがあった。ハッピーエンドのラブストーリーって、二人ともが互いを見ているか、二人で同じ方向を見ているか、ざっくりそのどちらか。そうでないとあっという間に壊れる。その壊れ方は上手く描いていたなと思います。

 

自分をしっかり守ろうとする人の人生は美しいと思います。初の性転換手術を、受けると決断してあげることも自分しか出来ないし、上手くいったとして、その後の様々な障害を耐えて乗り越えるのも自分だし、リリー・エルベを守れるのはリリー・エルベだけなんでよね。

 

エディ・レッドメインかっこいいし。女装してもかわいいし。アリシア・ヴィキャンデル超かわいいし。

 

あとあれだ、手術の料金が気になった。保険とか効かないでしょ。手術当時仕事しとらんじゃん主人公。気になるーーん。そういう社会的側面もうちょっと描かれててもよかったなぁ。

周りが芸術家だからかあまり一悶着もないし、通りすがりのヤンキーに殴られたくらいですかね。おうおうマジかせちがれえな1930年代と思ったのは。まぁでもそこは主題が違うんですかねー。