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66個の金魚の水槽

好きな音楽と映画と場所のことをダラっと書いています。

おバカばっかり。『T2トレインスポッティング』

2017年、春のユアン・マクレガー祭り。第二弾。

 

T2 トレインスポッティング

 

20年経っても全く成長していない、おバカさんたちの物語を観に行ってきました。

 

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前作、汚ったないトイレの絵面と、ユアン・マクレガーが走ってたことしか憶えてなかったので、見返しました。amazonプライムは最高。

 

前作のあらすじ

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ヘロイン中毒のレントンは不況に喘ぐスコットランドエディンバラでヤク中仲間と怠惰な生活を送っていた。人のいいスパッド、モテモテでジャンキーのシック・ボーイ、アル中で喧嘩中毒のベグビーらと悲惨な現実を前にしてもドラッグやナンパ、軽犯罪やクラビングを繰り返す毎日。そうこうするうちスパッドが受刑者となりレントンは何度目かのドラッグ断ちを決意。必死の麻薬治療を受けた彼は、ひと旗揚げようとロンドンで仕事を見つけ真っ当な生活を目指す。しかし、未だ更生しないシック・ボーイらがそんな彼を追いかけてきた。

 

登場人物

 

 

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マーク・レントン(ユアン・マクレガー)

今や知らない人はいないハリウッド俳優の彼が、世間に名を馳せた本作。最近だと「美女と野獣」も同時公開中。ヘラヘラと腑抜けた顔で、やるときゃやるぜ(大金持ち逃げ)。おバカさん。

 

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スパッド(ユエン・ブレムナー)

本作以外では観たことないのだけれど、良い俳優さんですよね。日本で言う渡辺いっけい感ある。ヤク中だけど根はいいヤツ、スパッド役。でもおバカさん。

 

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シック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)

アンジェリーナ・ジョリーの元旦那さん。今も仲良しらしい。髪の毛減ってもイケメンのレントンの悪友。おバカさん。

 

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ベグビー(ロバート・カーライル)

翌年1997年、「フルモンティ」で英国アカデミー賞受賞。かっちょええおっちゃん。グラスゴー出身とか言われるとときめく。クスリはやらないけどアル中。劇中一番のサイコパス。手に負えないおバカさん。

 

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ダイアン(ケリー・マクドナルド)

当時バーで働いてたところを、本作のオーディション受けて映画デビュー。なんでもありのアバンギャルド中学生ヒロイン。かわいくて賢い。

 

 

そんなこんなで20年後

かつて仲間たちを裏切って大金を持ち逃げしたマーク・レントンが、20年ぶりにオランダからスコットランドに戻ってくる。そこでは、パブを経営しながら売春や恐喝で荒稼ぎするシック・ボーイや家族に愛想を尽かされたスパッド、刑務所に服役中のベグビーら、当時の仲間たちが未だに悲惨な人生を送り続けていた。

 

通過儀礼としての前作トレインスポッティング

 

私はトレインスポッティング世代ではない。トレインスポッティングのポストカードを部屋に飾っていたわけでもない。もちろんクスリは「ダメ絶対」。

 

リアルタイム世代ではない私も、中高生の頃この映画を観た。第一印象は「10年前、欲求の吐き出し口を探していた自意識過剰な男子がこぞってハマったドラッグ映画」。

 

女子にとっての

「Buffalo'66」

ロスト・イン・トランスレーション

あの頃ペニー・レインと

とか、そのあたりのポジションでしょうか。

 

 アメリじゃちょっと可愛すぎる。

だって私はだれよりも屈折していて特別!

 

うん。わかる。

 

そんな、今思うとバカみたいだけど、誰にだってある年頃。多くの人が多少のこじらせと恥と過剰な自意識を、青春時代に塗り込んで生きてる。

音楽もファッションもなにもかもがスタイリッシュで、トレインスポッティングは「ワカってる自分」の一つのアイコンとして大流行。「黒歴史」と言われたり、「一周回ってやはり良い」と評価されたり。つまり少年たちの通過儀礼として確固たる映画。

 

うんうん。わかる。

 

そして20年越しの続編というエモさ

 

これほどまでに完璧な20年というブランクがかつてあったでしょうか。

 

映画続編といえば、昨年はブリジット・ジョーンズの日記の3作目が公開されたけれど、ヒュー・グラントは出演せず遺影のみの出演だった。扱いひどくて笑った。

ラブ・アクチュアリーの続編も報じられたけど、アラン・リックマンはもういない。

青春劇といえばスタンド・バイ・ミーだけど、もちろんこれも続編なんてありえない。

劇中でクリスは刺されたし、もちろんリバー・フェニックスもいない。

 

時が経つと、当たり前に状況が変わる。

だけどこの映画は、全員揃って作り上げることができた。全員生きて、全員がそれぞれ個性のある俳優業を続けている。

観客だってそうだ。20年、ちゃんと年取ったおじさんおばさんの姿が映画館に多かった。

20年走り続けた人たちが、ちゃんと年取って老けてつくりあげた作品。

 

それだけで「同窓会映画」として完璧。

完璧な20年というブランクだった。

 

やっぱりおバカばっかりだった。

※以下エンディングにちょっとだけ触れてます。

 

「現状維持は停滞」どこかのスタートアップの自己啓発のようだけれど、これはその通りだと思う。「人生を選べ」と謳っていた彼らは、結局この20年何も選べなかった。濁流に飲まれっぱなしの結果、20年経ってなお、ろくでなしだった。何も変わらない。

 

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更生したかと思いきや、エディンバラに戻るなりグダグダな主人公。

売春、ゆすりに悪どいことばかりしているシック・ボーイ。

相変わらずヤク中で家族に愛想を尽かされたスパッド。

ベグビーに至っては本気でかつての友人レントンを殺しにきてる。

 

変わらないのに、20年前とは比べ物にならない悲壮感があるのは、彼らだけがそのままだからだ。

エディンバラの街は近代化し、当時のガールフレンドは弁護士となり愚かでバカなままの自分たちに力を貸してくれる。

駆け込んだトイレですら、前作より数段きれいになっている。

 

大して輝かしくもなかった過去にしがみつき、過去の怒り、過去の悲しみにがんじ絡めなのは自分たちだけだ。 

 

前作では迷いなく画面上の登場人物を爆走させていたイギー・ポップ「Lust for life」。今作では主人公が一瞬だけレコードに針を落としたもののすぐに止めてしまう。20年前、自分たちを走らせた曲をレントンは聴けない。今は、あの頃のように走れないことをよく知っている。身体は重く、いうことを聞かない。

 

さて、その後またクスリに走るわ、盗みはするわの主人公にため息がとまらないのですが、 最後には希望に似た高揚感がある。

紆余曲折あり物語の最後、レントンは、クスリに手を伸ばすのではなく、さっきは聴けなかったアナログレコードに再び針を落とす。

 「Lust for life」は鳴り止まず、レントンは自室で踊り出す。そのままエンディングだ。音楽と映像効果もともなって、ようやく疾走感を取り戻す。

 

Lust for lifeを聴くと、新しいスニーカー買って走り出したくなる。

最後に今作でのレントンのChoose life。

 

Choose life
Choose Facebook, Twitter, Instagram and hope that someone, somewhere cares
Choose looking up old flames, wishing you’d done it all differently
And choose watching history repeat itself
Choose your future
Choose reality TV, slut shaming, revenge porn
Choose a zero hour contract, a two hour journey to work
And choose the same for your kids, only worse, and smother the pain with an unknown dose of an unknown drug made in somebody’s kitchen
And then… take a deep breath
You’re an addict, so be addicted
Just be addicted to something else
Choose the ones you love
Choose your future
Choose life

 

それでは〜。 

 

 

トレインスポッティング(字幕版)

T2 トレインスポッティング -オリジナル・サウンド・トラック