66個の金魚の水槽

好きな音楽と映画と場所のことをダラっと書いています。

『ブランカとギター弾き』

 

 幸せってなんだろう。四半世紀生きても幼稚な答えしか出てこない。

一方で年端のいかない少年少女でも自分の幸せを見つけられる。

 

ブランカとギター弾き」

よき作品でした〜。結末触れてます〜。

 

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あらすじ

写真家として活躍する長谷井宏紀がイタリア製作映画として手がけた監督デビュー作で、フィリピンを舞台に、孤児の少女と盲目のギター弾きの旅を描いたロードムービー

マニラのスラムに暮らす孤児のブランカは、母親を金で買うことを思いつき、盲目のギター弾きピーターと旅に出る。ピーターから得意な歌でお金を稼ぐことを教わったブランカは、レストランで歌う仕事を得てお金を稼ぎ、計画は順調に進んでいるかに思えた。しかし、そんな彼女の身に思いもよらぬ危険が迫っていた。

 


長谷井宏紀監督作!映画『ブランカとギター弾き』予告編

 

温度もにおいも伝わってくる異国情緒感

 

フィリピン、マニラ。結構勝手に発展した社会なのだと思っていて、摩天楼がそびえ建つ都会を想像していた。けど一歩はずれれば、この映画のようなスラム街が広がる。

 

ブランカ以外の出演者は、スラムの街でそのままスカウトしてきたとのこと。

ピーターは撮影中の人気者だったそうですが、想像がつくなぁ。

映画のまま懐深く、愛に溢れた人なんだろうなと思う。

セバスチャンも映画のキーマン。監督が彼の斜視を直すためのお金をあげたら、次にあった時には弟の腕の怪我をなおすのに使っちゃったと言っていたらしい。自分を後回しする判断を軽率にしてしまうあたり、全てのエピソードが、役柄そのままだなと感じる。本当の人柄なんてもちろん知らないけど。

 

街の温度感や 生きる人たちを、そっくりそのまま切り取ったような作品。監督が旅人で写真家でもあるというのも納得。

 

 

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幸せの定義とか

 

「幸せの定義とか悲しみの置き場とか」を探してるのはBUMP OF CHICKEN

 

「盲人ばかりなら戦争なんて起こらない」
というのは劇中のピーターの言葉。 

 

孤児院。「明日はハリウッド女優が見にくるから、養子に選ばれるようにおめかししなくちゃ」と張り切る少女たち。この中で私だけでも、私だけは幸せになりたい。当たり前だ。何も間違っていない。そして選ばれたなら、選ばれた先で新たな幸せの定義を探すのだろう。

 

孤児院を抜け出し、スラムのストリートに戻ってくるブランカ。もう歌は、生きるためだけの手段ではない。彼女はこの歳で、自分の幸せとは何なのか、もう見つけている。

 

 「上の下くらいに幸せになりたい。」
と、なんとなく昔から思っている。なにを持っての基準なのか、全然わからない。
アラブの石油王の息子になりたいとは思わなくて、身の丈にあった幸せがほしい。そもそも石油王の息子がどれだけ幸せかなんて知らないのに。

 

結局私の幸せの基準は、「周りの人より少し幸せになりたい」ということ。比較対象は今月会った周りの人たち。環境が変わるたび、幸せの定義がコロコロ変わる。実に一億総中流社会の日本人らしい考えじゃないか。

 

だけど周りと比較してばかりの幸せ探しは、いつまでも満たされなくてしんどい。から、どこかで覚悟を決めなきゃいけない。ブランカがだれかの養子として不自由なく暮らしていく未来を捨てたように。たまに見せるブランカの、幼い少女とは思えない凛とした表情が魅力的。

 

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私にとってのピーターの話

 

ここから完全に個人的な話。

ちょうどブランカくらいの歳の頃からだろうか。よく一緒に遊んでくれていたアメリカ人のおっちゃんがいた。

アメリカ人らしい豪傑で、いつもガッハッハと笑っていて、やっぱりちょっと太っていた。私はすぐに彼に懐いたし、とても可愛がってもらった。よく家族ぐるみで一緒にキャンプや野球観戦にいった。彼はヤクルトファンだった。私は彼と日本文化を楽しみ、彼は私に英語を教えてくれた。
仕事は弁護士をやっていて、絵に描いたようなビジネス会での成功者だった。なんせ自分の船や湖を持っていた。私の抱いていたイメージとは真逆で、仕事では神経質なくらい真面目で厳しい人だったらしい。


彼がアメリカに帰ってからしばらくして、訃報を聞いた。理由は教えてもらえなかった。けど、なんだか普通のことではないみたいで、それ以上は聞けなかった。

 

あのおっちゃんが、私が見ていた豪快な笑顔のとおり、幸せだったならいいなと思い返さずにはいられなかった。一生わかりっこないけど。こういう大人はいつも、こどもの前では優しく笑うんだもんな。

 

 

 

ハッとさせられる生命力溢れる作品でした。

明日も良い日でありますように!

 

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