66個の金魚の水槽

好きな音楽と映画と場所のことをダラっと書いています。

君の名前で僕を呼んで

君の名前で僕を呼んで」観てきました。

 

夏と儚げ美少年、というだけでとっても好みっぽい映画だったけれど、本年度アカデミー賞脚色賞を受賞したとのことでさらに期待値大。

 

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あらすじ

 

1983年夏、北イタリアの避暑地で家族と夏を過ごす17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会う。一緒に自転車で街を散策したり、泳いだり、午後を読書や音楽を聴いたりして過ごすうちに、エリオのオリヴァーへの気持ちは、やがて初めて知る恋へと変わっていく。 眩しすぎる太陽の中で、激しく恋に落ちるふたり、しかし夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づいてくる。(Filmarks)

 

 

美しすぎてため息が出る。

 

北イタリアの街並み

降り注ぐ太陽

川のせせらぎ

風が通る匂い

車輪の軋み

ピアノの音色

 

 

それら全てが彼らの一夏を瑞々しく見守っている。美しくて、繊細で、少しでも目を離したら色褪せてしまいそうで、画面に釘付けになった。

 

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題名にもなっている言葉は、ベッドでのオリバーのセリフ。"Call me by your name and I'll call you by mine."

 

あぁ、この感覚は分からないかもしれない。なんてはじめは思った。相手を自分の名で呼ぶ愛情表現なんて聞いたことがなかった。ん〜、彼の苗字と自分の名前の口触りをなぞるくらいがせいぜいか。

 

だけどベッドで、あるいは高原で、はたまた電話越しで、自分の名前で相手に呼びかける様に、だんだんとぐっときてしまう。自分の中の相手がどんどん膨らんで、相手の中に自分の名前が響いてほしくて、手繰り寄せるように、確かめるように、呼びかける。

 

 

この映画では、社会のLGBTに対する抑圧というのはあからさまに描かれない。代わりにこれでもかと丁寧に描かれるのが、膨れ上がる欲望、抑えられない衝動。どれもがとても生身の人間らしく、決して清廉潔白なんかじゃないのに、まとう空気はどこかおとぎ話のよう。極端に言えば「小さな恋のメロディ」を観たときにも似た、甘く戸惑い無鉄砲な初恋の物語のようにも感じられてしまう。

 

それは、華奢でガラス細工のようなティモシー・シャラメギリシャ彫刻のように隙のない出で立ちのアーミー・ハマー、二人の役者の功績も勿論大きい。アカデミックで育ちの良さが滲み出る言葉の掛け合いと、それ以上に息を呑む言葉の隙間と漂う空気。

 

その言葉の行間を埋めて、瑞々しさを際立たせるのが、やっぱり最初に書いたこの舞台と夏という季節。これくらいの歳の少年にとって、夏の全ては味方。汚らしく潰れたアプリコットの、甘ったるい香りさえも似合ってしまう。

 

 

 

余談だけど、実は撮影中はほとんど雨で、太陽の光はほとんどが作りものだそうで、驚いた。見ていてくしゃみが出そうなくらい、あたたかい夏の日の光が、画面に漂っていたものだから。

 

最後にオリバーが言う言葉、"I remember everything."何一つ忘れない。太陽が音や匂いごとフィルムに焼き付けて、夏の記憶ってなかなか消えない。

 

 

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あと音楽がとても良い。

サントラ買おうかな〜〜。

 

 

 

「君の名前で僕を呼んで」オリジナル・サウンドトラック

「君の名前で僕を呼んで」オリジナル・サウンドトラック